生活圏15km程度を手軽に移動できる乗り物として、一般原付、電動アシスト自転車、特定小型原付があります。
ただ、価格や維持費(ランニングコスト)、速度や走りやすさ、駐車のしやすさなどはそれぞれ異なります。そこで、一般原付(原付一種)、電動アシスト自転車、特定小型原付の違いをこうしたさまざまな観点から検証してみました。ぜひ、参考にしてください。
最初に抑えておきたい原付とは?一般原付と特定小型原付の違いをチェック
原付とは?
原付は、「原動機付自転車」の略。自転車はペダルをこがないと走行できませんが、原付はスロットルをひねるなどの操作により、自動走行が可能な乗り物です。
原付には、大きく分けて「一般原付」と「特定小型原付」があります。
一般原付のうち、原付免許や普通自動車免許で運転できる原付一種には、従来の排気量50cc以下の車両に加え、2025年4月から新たな基準が設けられました。現在は、排気量125cc以下で最高出力を4.0kW以下に制御した「新基準原付」も原付免許で運転できます。
ただし、125cc以下のバイクであれば、すべて原付免許で運転できるわけではありません。新基準を満たさない車両の運転には、その車両区分に応じた免許が必要です。
関連記事:【初心者必見】知っておくべき8つの原付ルールを徹底解説!
この記事では、電動アシスト自転車や特定小型原付との比較対象になりやすい「原付一種」を取り上げて解説します。
原付と特定小型原付の違いとは?

出典:警視庁|特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について
特定小型原動機付自転車とは、次の基準を全て満たすものをいいます。
- 車体の大きさは、長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下であること
- 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること
- 時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと
- 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
- オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること
- 最高速度表示灯が備えられていること
これらに加え、次の3点も必要となります。
- 道路運送車両法上の保安基準に適合していること
- 自動車損害賠償責任保険(共済)の契約をしていること
- 標識(ナンバープレート)を取り付けていること
参考:警視庁|特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について
上記の条件を満たした特定小型原付には、16歳以上であれば運転免許不要で乗ることができます。一方、これらの基準を満たさない電動モビリティは、車両の仕様によって一般原付など別の車両区分に該当し、運転免許が必要となる場合があるため注意が必要です。

原付一種、電動アシスト自転車、特定小型原付の違いをコストなどから徹底比較!
では、原付一種、電動アシスト自転車、特定小型原付の違いを購入価格、維持費(ランニングコスト)、航続距離など各項目から比較し、検証していきましょう。
原付一種には、ガソリンなどを燃料とするエンジンバイクと、電力で動く電動バイクがあります。
電動バイクについて詳しくは、こちらをご覧ください。
関連記事:原付バイクと電動アシスト自転車、どっちを選ぶ?ポイントを紹介
関連記事:電動バイクの知られざるメリット・デメリットをご紹介

価格:電動アシスト自転車の方が相場は安い
購入する場合の価格相場を比較すると、電動アシスト自転車は10万円台のモデルが多く、比較的手頃な価格帯です。
一般原付は20万円代後半から40万円程度、電動バイクは20万円台後半から30万円台のモデルが見られます。また、特定小型原付は10万円台から30万円程度まで、車種や性能によって価格に幅があります。
さらに一般原付・特定小型原付は自賠責保険(共済)への加入が必要となるため、車両本体以外にも費用がかかります。
ただし、電動バイクは購入時に自治体などの補助制度を利用できる場合があります。対象車両や条件は地域によって異なるため、お住まいの自治体などで最新の情報をご確認ください。
維持費:ガソリン代がかかる原付より充電OKの電動アシスト自転車
維持費を算出した結果、電動アシスト自転車が最も安く済み、次いで特定小型原付、電動バイクとなり、ガソリン代がかかる原付の維持費が最も高いことがわかりました。
下記を想定し、算出してみました。
・通勤片道15km、休日はお出かけで往復40km、1ヶ月920km走行
通勤片道15kmの場合、平日往復30km×週5日=150km、休日お出かけで往復40km×週2日=80kmとすると、1週間の走行距離は230kmとなります。
さらに1ヶ月分の走行距離目安として、230km×4週=920km/月程度とします。
ガソリンバイク、電動バイク、特定小型原付、電動アシスト自転車のそれぞれで維持費をみていきましょう。
ガソリンバイクの場合

一般的なガソリン原付の燃費を40km/Lとして、920km走行するのに必要なガソリンは23リットルです。レギュラーガソリンの価格を1リットル当たり170円と仮定すると、1か月に必要なガソリン代は、170円×23リットル=3,910円となります。
この条件で年間の燃料費を試算すると、約46,920円です。ここに軽自動車税(種別割)や自賠責保険(共済)などの費用がかかります。
また、走行する上で燃料をガソリンに依存するため、給油のたびにガソリンスタンドに行く必要があります。費用だけでなく、こうした時間的な負担も日常的に利用する上ではポイントとなります。
電動バイクの場合

電動バイクの場合、走行に必要な電気代は車種やバッテリー容量、充電環境などによって異なります。仮に1kmあたり0.5〜1.5円程度とすると、月920km走行した場合の電気代は約460〜1,380円、年間では約5,520〜16,560円となります。
特定小型原付の場合

特定小型原付には、電動キックボードやバイク型などの2輪タイプのほか、3輪タイプ、4輪タイプがありますが、ここでは電動キックボードで試算してみます。
関連記事:「電動キックボード以外にも移動に便利!歩道6km/h走行可能な乗り物」
電動キックボードの電気代は車種によって異なりますが、1kmあたり0.3〜0.5円程度と仮定すると、1か月920km走行した場合は約276〜460円、年間では約3,312〜5,520円となります。
さらに、特定小型原付は自賠責保険(共済)への加入が必要です。このほか、軽自動車税(種別割)などの費用がかかります。任意保険に加入する場合は、その保険料も必要となります。
なお、実際の電気代は車種やバッテリー容量、充電環境、走行状況などによって異なります。
電動アシスト自転車の場合

電動アシスト自転車の充電にかかる電気代は、メーカーやバッテリー容量、充電環境などによって異なります。仮に1kmあたり0.2〜0.3円程度とすると、月920km走行した場合の電気代は約184〜276円、年間では約2,208〜3,312円となります。
ガソリンを使用しないため、ガソリン原付と比べて走行にかかるエネルギーコストを抑えやすいのが特徴です。実際の電気代は、バッテリー容量や1回の充電で走行できる距離、電気料金などによって変わります。
glafitの「GFR-02」は、原付と自転車を切り替えて利用できる独自の「モビチェン」という機構を採用しています。モビチェンについてはこちらの「モビチェンってなに? 電動バイク(原付1種)と自転車を切替えて使う、日本初の二刀流バイクは何故できたのか?」で解説しています。ぜひ参考にしてください。
▶製品情報:GFR-02
速度:一般原付は最高速度30km/h
走行速度を比べると、一般原付の最高速度は30km/hです。ガソリン車・電動タイプともに、一般原付に該当する車両は最高速度30km/hの交通ルールが適用されます。
一方、電動アシスト自転車は、24km/h以上になるとモーターによるアシストが働かない仕組みになっています。電動アシスト自転車はあくまでも「自転車」なので、24km/hが最高速度という意味ではありません。
また、特定小型原付の最高速度は20km/hです。
そのため、速度を重視して移動したい場合は、一般原付(ガソリン車・電動バイク)が選択肢となります。
なお、2025年4月1日からは、従来の総排気量50cc以下の原付に加えて、総排気量50cc超125cc以下で最高出力4.0kW以下の車両も「一般原付」として原付免許で運転できるようになりました。新基準に該当する原付も、最高速度30km/h、二段階右折、二人乗り禁止など、従来の原付一種と同じ交通ルールが適用されます。
免許:一般原付は免許が必要、電動アシスト自転車は不要
道路交通法の車両分類では、電動アシスト自転車は「自転車(軽車両)」の区分であるため、乗る際に運転免許は必要ありません。
一方、一般原付や自動二輪車に該当する電動バイクを運転するには、車両区分に応じた運転免許が必要です。
ただし、一定の基準を満たす「特定小型原付」は、16歳以上であれば運転免許は不要です。特定小型原付は、定格出力0.60kW以下、最高速度20km/h以下などの基準を満たす必要があります。
| 定格出力などの目安 | 車両区分 | 必要な免許 | 法定最高速度・交通ルール |
|---|---|---|---|
| 0.60kW以下+特定小型原付の基準を満たす | 特定小型原動機付自転車(特定小型原付) | 不要(16歳以上) | 20km/h |
| 0.60kW以下(特定小型原付を除く) | 第一種原動機付自転車(原付一種) | 原付免許または普通自動車免許など | 30km/h |
| 0.6kW超〜1.0kW以下 | 第二種原動機付自転車(原付二種) | 小型限定普通二輪免許以上 | 30km/h制限は適用されない |
免許について詳しくは「電動バイクに乗るのに必要な免許は?車検が不要って本当?」で解説していますので、ご参考ください。
ペダルが付いた電動バイクでも、ペダルをこがずにモーターだけで走行できる車両などは、電動アシスト自転車とは異なり、一般原付などの車両区分に該当する場合があります。見た目だけでは判断せず、車両区分や必要な免許を確認してから利用しましょう。
また、特定小型原付については「電動キックボード法改正!2023年7月1日からの新ルールを解説!」でも詳しく紹介しています。
「特定小型原付=電動キックボード」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、特定小型原付には電動キックボード以外のタイプもあります。
glafitの電動サイクル「NFR-01」シリーズも特定小型原付に該当し、16歳以上であれば運転免許不要で乗ることができます。
航続距離:長距離ならガソリン原付、電動は充電頻度もチェック
航続距離を比較すると、ガソリン原付は1回の給油で長い距離を走行しやすく、給油にかかる時間も短いため、中長距離の移動に向いています。
一方、電動バイクや特定小型原付は、1回の充電で30〜50km程度走行できるモデルが見られます。普段の移動距離と照らし合わせて、充電の頻度を確認しておくことが大切です。
電動アシスト自転車には、走行モードによって1回の充電で100km前後のアシスト走行が可能なモデルもあります。ただし、電動アシスト自転車はモーターの力だけで走行する乗り物ではなく、ペダルを漕ぐ力をモーターが補助する仕組みです。そのため、カタログ上の走行距離だけでなく、実際に移動する距離や身体への負担も考慮して選ぶとよいでしょう。
電動バイクや電動アシスト自転車を利用する際は、バッテリー残量にも注意が必要です。一方、電動バイクの中には、glafitの「GFR-02」のように、所定の切り替えを行うことで自転車として利用できるモデルもあります。
体力:電動アシスト自転車は漕ぐのに体力を使う
一般原付や特定小型原付で走行する場合は人力でペダルを漕ぐ必要はありませんが、電動アシスト自転車はペダルを漕いで走行するため、体力を使います。
電動アシスト自転車は、人がペダルを漕ぐ力をモーターが補助する仕組みです。通常の自転車と比べて身体への負担を軽減できますが、ペダルを漕ぐ必要があるため、一般原付や特定小型原付とは体力面で違いがあります。
保険:一般原付・特定小型原付は自賠責保険への加入が必要
一般原付・特定小型原付は、公道を走行するために自賠責保険(共済)への加入が義務付けられています。自賠責保険料は全国一律(沖縄県や離島など一部地域を除く)ですが、車両区分や契約期間によって異なります。
また、自賠責保険で補償される範囲には限りがあるため、必要に応じて任意保険への加入も検討するとよいでしょう。保険会社やプランによって保険料や補償内容は異なります。自動車保険に加入している場合は、ファミリーバイク特約などを利用できる場合もあるため、契約内容を確認してみましょう。
一方、電動アシスト自転車の場合は、自転車事故に備えた保険があります。自転車損害賠償責任保険等への加入については、自治体によって条例の内容が異なるため、お住まいの地域の情報を確認してください。
このように、一般原付・特定小型原付と電動アシスト自転車では、必要となる保険の種類や加入条件が異なります。
駐車スペースの確保のしやすさ:電動アシスト自転車は駐輪場所を確保しやすい
電動アシスト自転車は、自転車用の駐輪場を利用できるため、日常の移動では駐輪場所を確保しやすいことがメリットです。
一方、一般原付や特定小型原付を駐車・駐輪できる場所は、施設や駐輪場などによって利用ルールが異なります。車両区分だけでなく、車体サイズなどによって利用できない場合もあるため、利用する施設のルールを事前に確認しておくと安心です。
また、一般原付と自転車では通行できる場所や交通ルールも異なります。普段利用する道路や駐車・駐輪環境も考慮して、用途に合った車両を選びましょう。
なお、glafitの「GFR-02」は、所定の切り替えを行うことで自転車として利用できる「モビチェン」に対応しています。

原付(電動バイク)と自転車にそれぞれ切り替えて走行できるGFR-02
結局、どれを選ぶと良い?選ぶポイント

どの乗り物を選ぶか迷った場合は、まず普段の移動距離を基準に考えてみるとよいでしょう。移動距離が長くなるほど、所要時間だけでなく、体力やバッテリーの航続距離なども考慮する必要があります。
特に片道10kmを超えるような移動では、速度や体力面から一般原付が選択肢になります。ここからは、移動距離や用途別に選び方を紹介します。
片道5km未満の移動なら特定小型原付・電動アシスト自転車がおすすめ
片道5km未満の移動なら、電動キックボードをはじめとする特定小型原付や、電動アシスト自転車が選択肢になります。
体力を使いたくない場合
ペダルを漕がずに走行できる特定小型原付が選択肢になります。ただし、電動キックボードなどを利用する際は、車種によって登坂性能が異なるため、普段利用するルートに坂道が多い場合は事前に確認しておきましょう。
関連記事:「電動キックボードで坂道の上り下りはできる?(注意点、実証結果あり)」
また、特定小型原付には電動キックボードだけでなく、バイク型や自転車型などさまざまなタイプがあります。glafitの電動サイクル「NFR-01」シリーズも特定小型原付に該当し、16歳以上であれば運転免許不要で利用できます。

免許不要の電動バイク:NFR-01 Pro
維持費を抑えたい・荷物を載せたい
維持費を抑えたい場合や、カゴなどを利用して荷物を運びたい場合には、電動アシスト自転車が選択肢になります。
片道10km程度~の移動なら原付がおすすめ
片道10km程度の移動となると、体力面や乗り心地、移動時間などを考慮して、一般原付を検討するとよいでしょう。
たとえば立ち乗りタイプの電動キックボードの場合、10km程度の移動では長時間立ったまま乗車することになるため、乗り心地や疲労の面から中長距離の移動には向かない場合があります。
一方、一般原付を運転するには免許が必要です。免許を持っていない場合は、座って乗れるタイプなど、中長距離の移動も想定した特定小型原付を選択肢として検討するとよいでしょう。車種によって航続距離や乗車姿勢、乗り心地などが異なるため、普段の移動距離に合ったモデルを選ぶことが大切です。
免許を持っていない場合も移動に便利な特定小型原付がおすすめ
16歳以上で運転免許を持っていない場合や、ペダルを漕がずに移動したい場合は、特定小型原付が選択肢になります。特定小型原付にはさまざまなタイプがあり、電動キックボード以外にも2輪タイプ、3輪タイプ、4輪タイプがあります。
関連記事:「電動キックボード以外にも移動に便利!歩道6km/h走行可能な乗り物」
ご自身の移動距離に合わせて、航続距離についてもチェックが必要です。
先に紹介したNFR-01Proは1回充電あたりの航続距離は46㎞となっています(定地走行試験値)。
製品によって航続距離が異なるため、事前に確認しておきましょう。
関連記事:特定小型原動機付自転車の種類とは?タイプ別に紹介!要件についても解説

(※地図上の半径40kmの目安を示したもので、実際の走行可能範囲を示すものではありません。航続距離は走行条件などによって異なります)
ぜひ、近距離・中長距離の移動にご活用ください。
まとめ
この記事では、生活圏を手軽に移動できる一般原付、電動アシスト自転車、特定小型原付について、購入価格や維持費、速度、免許、航続距離などの違いを比較しました。
一般原付は速度や中長距離の移動、電動アシスト自転車は日常的な近距離移動や荷物を載せての移動、特定小型原付は16歳以上であれば運転免許不要で利用できることなど、それぞれに特徴があります。
選ぶ際は、普段の走行距離をひとつの目安にするとよいでしょう。片道5km程度の近距離であれば電動アシスト自転車や特定小型原付、片道10km程度の移動であれば一般原付や、中長距離の移動も想定した特定小型原付などが選択肢になります。
ただし、適した乗り物は走行距離だけで決まるものではありません。坂道の多さや道路環境、駐車・駐輪場所、必要な免許、充電環境なども含め、ご自身の移動状況やライフスタイルに合わせて選びましょう。
購入前には可能であれば試乗し、ご自身の体格に合っているか、乗りやすいかなども確認してみてください。
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