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電動バイクや電動キックボード(以下、電動モビリティ)は、そのエコフレンドリーな性質や手軽さから、街中でよくみかけるようになってきました。これらは気軽な乗り物のイメージが強い一方、ガソリンエンジンを積んだバイク(以下、バイク)と同様に、車両区分ごとに適切な免許証が必要です。この記事では、電動モビリティに乗るために必要な免許証の種類を詳しく解説します。
1. 車両区分ごとの免許証の必要性
電動モビリティも、バイクと同様に、車両の種類によって必要な免許証が異なります。これは、車両の性能や最高速度に応じて分類わけされる車両区分ごとに、必要な免許が法律で定められているためです。
原動機のみで自走できる機能がある乗り物は全て、法的にバイクと同様に扱われます。原動機がガソリンエンジンなのか電気モーターなのか、乗り方が立ち乗りなのか座り乗りなのか、また、ペダルがついているかいないかも関係ありません。
電動モビリティに乗るためには、モーターの出力に応じて適切な免許証が必要です。
2. 電動モビリティの車両区分とモーター出力による分類
電動モビリティは、モーターの出力によって以下のように車両区分が決まります。メーカーサイト等でモーター出力を確認しましょう。
道路交通法による免許の種類 | 運転できる車両の区分 | 定格出力 | 排気量 |
---|---|---|---|
原付免許 | 一般原動機付自転車 | 0.6kW以下 | 50cc以下 |
小型限定普通自動二輪免許 | 小型自動二輪車 | 1kW以下 | 125cc以下 |
普通自動二輪免許 | 普通自動二輪車 | 20kW以下 | 400cc以下 |
大型自動二輪免許 | 大型自動二輪車 | 20kW超 | 400cc超 |
車両区分 一般原動機付自転車:0.6kW以下(50cc以下のバイクと同等)
必要な免許証: 原付免許または普通自動車免許
電動バイク・電動キックボードであっても、電気モーターだけで自走可能な性能がある場合バイクとして扱われ、モーター出力が0.6kW以下である場合、原動機付自転車(いわゆる原付)として扱われます。運転するために、原付免許または普通自動車免許が必要です。
車両区分 小型自動二輪車:0.6kW超〜1.0kW以下(50cc超〜125cc以下のバイクと同等)
必要な免許証: 小型限定普通二輪免許
モーター出力が0.6kWを超え、1.0kW以下の電動バイクは、小型二輪車として分類されます。これには小型限定普通二輪免許が必要です。
車両区分 普通自動二輪車:1.0kW超〜20kW以下(125cc超〜400cc以下のバイクと同等)
必要な免許証: 普通自動二輪免許
モーター出力が1.0kWを超え、20kW以下の電動バイクは普通自動二輪車に該当します。普通自動二輪免許が必要です。
車両区分 大型自動二輪車:20kW超(400cc超のバイクと同等)
必要な免許証: 大型自動二輪免許
モーター出力が20kWを超える電動バイクは、大型自動二輪車として扱われ、大型自動二輪免許が必要です。
以上のように、電動モビリティは法的にれっきとしたバイクとして扱われていること認識する必要があります。
3. 特定小型原動機付自転車について
電動モビリティは、その仕様によって特定小型原動機付自転車(以下、特定原付)という車両区分に分類されるものがあります。
車両区分 特定原付
必要な免許証: 不要(ただし条件あり)
特定原付として扱われる電動モビリティは、免許証が不要です。ただし、電動モビリティ自体が以下の条件を満たす必要があります。
- 車体の大きさは、長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下であること
- 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること
- 時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと
- 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
- オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること
- 最高速度表示灯が備えられていること
国土交通省では、特定原付の保安基準適合性を確認する「性能等確認制度」を設けています。保安基準への適合が確認された特定原付の型式は国土交通省ホームページにおいて公表(3.特定小型原動機付自転車の性能等確認制度の、「保安基準適合性等が確認された特定小型原動機付自転車の型式」のリンクから最新版の一覧がご覧になれます)するとともに、車体に「性能等確認済」を示すシールが貼付されています。
4. ペダル付き原動機付自転車は原付バイクです
電気モーターのみで走行することも、ペダルを漕いで乗ることもできるモビリティは、ペダル付き原動機付自転車と呼ばれます。このカテゴリーに含まれるモビリティは、「原動機のみで自走できる機能」があるため法的にバイクとして扱われます。
「ペダルを漕いでいたらアシスト付き自転車と同じ扱い」、「電源を切ったら自転車扱いになる」と思ってしまいますが、これは誤解です。人力で漕いでいるかどうか、電源がオンかオフかによらず、「原動機のみで自走できる機能」を有しているモビリティは走行時には常にバイクとして扱われ、運転するユーザーもバイクとしての交通ルールを守る必要があります。
2024年5月24日に公布された改正道路交通法で、モーターを止めた状態で走行する場合も、原付バイク運転に該当することが明確化されました。しかし、これは新たに規制されたわけではなく、従来からそのように区分されていたものを明文化したに過ぎません(参考:警察庁「改正道路交通法の概要等(ペダル付き原動機付自転車に関する規定の整備)について」)。
その一方で、glafitの電動バイク「GFR-02」は、車両区分を原付と自転車とで切り替えが法的に認められているモビリティです。モビチェンという、原付から自転車への切替えの時にナンバープレートを覆う自転車のピクトグラムが表示される部分と、覆っているときにはバイクの電源が電源ボタンを押しても入らないよう電子制御された機構から成るシステムが搭載されており、2021年6月に「電動バイク(原付)と自転車の車両区分の切替え」を道路交通法の上で公的に認められています。
ペダル付き原動機付自転車はバイクであり、自転車への切替えは要件を満たした製品のみ可能であることを認識することが必要です。
まとめ
電動モビリティに乗るためには、モーターの出力に応じて適切な免許証が必要です。一般的には、原付免許、小型二輪免許、普通自動二輪免許、大型自動二輪免許のいずれかが必要になりますが、特定小型原付に関しては免許証が不要です。購入前には、必ず自分の乗りたい電動モビリティの車両区分を確認し、適切な免許証を取得しているかどうかを確認しましょう。
安全に楽しく電動モビリティライフを楽しんでください。
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