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KNOWLEDGE OF MOBILITY

モビリティの豆知識

モビチェンってなに?

モビチェン写真

モビリティ・カテゴリー・チェンジャー。左:電動バイク時、右:自転車時。

 

モビチェンとはモビリティ・カテゴリー・チェンジャーの略称

モビチェンは、glafit株式会社が2021年6月に「電動バイク(原付)と自転車の車両区分の切替え」を道路交通法の上で公的に認められた電動バイクに取り付けられている、切替えの時にナンバープレートを覆う自転車のピクトグラムが表示される部分と、覆っているときにはバイクの電源が電源ボタンを押しても入らないよう電子制御された機構システムのことです。
正式名称は、モビリティ・カテゴリー・チェンジャー®といい、略称として、モビチェン®と言われています。この機構を取付け、ルールに則り運用しているバイクが、電動バイクと自転車の切替えを認められます。
モビチェンは、これまで一律で「ペダル付き原動機付自転車は原付」とされていた道路交通法を、実際の走行状態に合わせて適用される道路交通法上の扱いも切り替えるという、これまでに無い、まったく新しい考え方を実現しました。

取り付けが認められているのは今のところglafit社の二刀流バイクGFR-02のみ

2021年6月に「電動バイク(原付)と自転車の車両区分の切替え」という、現在の道路交通法の解釈変更を法律で認められたため、条件を満たした車両は「電動バイク(原付)と自転車の車両区分の切替え」が認められることになります。認められた時点では、電動バイク(原付)と普通自転車※の切替えとなっていて、GFR-02の電動バイクから切替えた場合は、アシスト機能のない自転車になります。
この記事を書いている現時点(2023年4月現在)で認定されているのは、glafitのGFR-02のみとなっています。今後、glafitから新しいラインナップが追加されたり、他社メーカーのペダル付き原動機付自転車が認定され増えていくことが期待されます。

写真を見ると、自作でナンバープレートを覆っていたらいいのではないか?と思っていませんか。自作でナンバープレートを覆っているだけでは、道交法での切替えを認められません。切替えを認められる車両は警察庁で審査の上、認定されたもののみとなります。違法な改造は行わないようにしましょう。

※電動アシスト自転車との切替えも同時に認められているそうですが、GFR-02では普通自転車との切替えとなっているようです。今後はアシスト自転車との切替えができるGFRシリーズができることを期待します。
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なぜモビチェンを作ったのか?

現行の道路交通法での決まりでは、「ペダル付き原動機付自転車」は自転車モードで走行中でも原付扱い

まず、ペダル付き原動機付自転車について簡単に説明します。
これは、自転車のようにペダルがついていて自転車として漕いで走行できますが、漕がなくてもスロットルを回すだけで自走できるバイクのことを指します。
また、見た目はペダルがついているため電動アシスト自転車とも間違われがちですが、電動アシスト自転車は補助動力のため必ず自分で漕がないと進まないという大きな違いがあります。
次に、ペダル付き原動機付自転車はいつでも原付扱いについて説明します。
ペダル付き原動機付自転車と言う通り、道路交通法上は原付に当たる「原動機付自転車」となり、公道走行には運転免許はもちろん、ナンバープレート取得や、ミラー、前照灯、ブレーキランプ、方向指示器(ウインカー)などの保安部品の装備が必要です。また自動車損害賠償責任(自賠責)保険への加入も必須であり、ヘルメットの着用が義務づけられています。
そして、いつでも原付扱いというのは、動力を一切使わずに自分が漕ぐだけしか進まない通常の自転車と同じ状態で走行していても原付として扱われるという事になりますので、この場合でも免許証は必携です。
原付は日本独自の車両区分であり、これまでは1つの車両で原付機能と自転車機能のある場合は、上位側(ここでは原付)の法律に則ることになっているため、どのように走行していても原付として扱われています。

参考: 「ペダル付きの原動機付自転車」の取扱いについて  (警察庁サイトより)

 

電動化された今の乗り物と法律のギャップ

現在の道路交通法は1960年(昭和35年)12月に施行されたものです。
当時からは技術革新が進み、電動アシスト自転車が開発され電動アシスト自転車の新しい法律が追加されたり、一方で第1種原動機付自転車の事故の多さからヘルメット着用義務化になるなど、昭和時代の法律をベースにして、技術革新による新しい乗り物に都度対応してきました。しかし、原動機を基本とした乗り物から、電動モビリティへのシフトが加速されたことにより、これまでの道路交通法とは乖離している部分が出てきていました。この「ペダル付き原動機付自転車」も、過去には自転車に原動機を付けた「バタバタ」と呼ばれ昔からある乗り物です。しかしながら、昔と違いで走行スピードや電源のON/OFFが電子制御でできるようになったことなどもあり、モビチェンを付けた車両が電動バイクと自転車と切替えて使うという事が、現行法の解釈変更で認められました。
また、昨今の新しい動きとして、「特定小型原動機付自転車」という電動モビリティを対象にした法改正の施行が2023年7月となっています。

 

規制のサンドボックス制度を利用したチャレンジ

2017年にクラウドファンディングで人気を博したのがglafitのGFR-01でした。
当時のクラウドファンディングの日本記録を超える1億2800万円を集め、その後は一般販売も行い、日本国内に「漕げる折りたたみ電動バイク」として広く認知されました。
一方、GFR-01のユーザーから多くの声がglafitに寄せられます。
「電源をきった状態の時は、電動アシスト自転車よりスピードも出ないので、自転車扱いにならないのか?」
「バッテリー残量が少ないので自転車として漕いでいるときは、自動車などスピードが速い乗り物と同じ車道を走るよりは、避けられる歩道などを走行できるようにならないか?」といった、いつでも原付扱いの現状への法律面での改善要望でした。
当時はなかなか法改正は難しいといわれており、関係省庁と個別に折衝していくことになるため、相談窓口が多くなり、且つ同内容でも担当省庁での見解が分かれるというようなこともありました。
2018年6月、規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)が創設されたことをきっかけに、規制のサンドボックス制度を通じて、ユーザーから寄せられた「自転車走行時は法律としても自転車として認めてもらうための実証実験」を行い、政府一元的窓口の支援を受け、各省庁との折衝が進められました。
実証実験により、電源を切った状態でペダルを漕ぐだけの場合は、自転車と同等であるという事をまず認めてもらいましたが、まだこの時にはモビチェンの概念はありませんでした。
この後、1台で電動バイクと自転車を切替て使うための問題点の整理を行い、主に警察庁との折衝の中から開発されたのが、モビチェン機構でした。

参考: 規制のサンドボックス申請内容について

 

実証実験時の車両

実証実験時の車両[自転車走行中であることを青ランプで示す]

 

モビチェンは、なぜボタン一つで開閉しないのか

電動バイクと自転車の切替えが仮にできた場合、どのような問題点や心配な点があるのかが、モビチェン機構開発のポイントになりました。

①歩行者からの視点

  • ・切替えたフリをして、自転車ではなく電動バイクのモードで歩道を凄いスピードで走行する人がいるのではないか?
  • ・自転車で走っているのかバイクで走っているのかわからないと怖い


②取締りの警察官の視点

  • ・自転車で走っているのかバイクで走っているのか明確にしないと取締りが難しい
  • ・走行中簡単にボタン1つで切替えられてしまうと、警察官を見かけたときだけ切替える人がでてしまうのではないか
  • ・確実に電源を切った状態であることを担保したい


③ユーザーからの視点

  • ・安心して合法的に自転車扱いとしても走りたい
  • ・違法でないことを周囲にも理解されるようにしたい

 

このような各々の視点での問題を解決するために考え出されたのが、モビチェン機構です。

 

モビチェン機構の概念を認められたポイント

  • ・車両本体の電源をOFFにしてからでないと、モビチェン本体の操作ができない
  • ・メインディスプレイ側のボタンなどで簡単にナンバープレートを覆う事ができない
  • ・電子ロックと物理ロックの左右ロックを同時に解除する、ながら走行では切替できない、あえて面倒な仕様を取り入れ
  • ・ナンバープレートを覆い自転車の状態では、メインディスプレイ側の車両本体の電源ボタンを押しても電源か入らない

打ち合わせを重ねた末に完成したモビチェンは、十分に歩行者の安全に配慮、また現場の警察官の取締りにも配慮しているから、ボタン1つで開閉しない面倒な仕様になっているのです。
そして、これらの内容を満たしたものでないと切替えを認められません。

 

GFR-02にモビチェンが付くと何が便利になるの?

基本的に電動バイクとして利用することを主として考えられている乗り物なので、自転車として長距離走行することを前提にしていません。自転車走行は小径折りたたみ自転車のいわゆるミニベロと同じ乗り味です。
自転車に切替えることで、こんなことが可能になります。

  • ・バッテリーが切れそうな時に、普通自転車として安全な走路を確保できる
  • ・駐輪場に自転車として停められるので、駐輪場所が探しやすくコストも原付よりもお得
  • ・一方通行などが多い時は自転車に切替えたほうが便利で早い
  • ・自転車歩行者道(自歩道)や自転車歩行者専用道路などを、自転車走行したいときに切替えて走行できる
  • ・自転車に切替えたら、自転車駐輪禁止区域外では駐禁対象にならない
  • ・普段の利用はバイクでも、休日の公園で小さなお子さんと自転車として一緒に走れる
  • ・バイクはNGな渡船や観光地で自転車として利用できるので楽しむ場所が広がる

 

参考: 和歌山市の公用車として導入済みのGFR-02車体に、Mobility Category Changer(通称、モビチェン)が装着。 二刀流バイクで、職員の業務移動が更にスムーズに!

 

モビチェンの今後について

今後は、glafitでGFR-02に標準装備の車体販売を増やしていくほか、新しいモビチェンを搭載した製品の開発をおこなっていきたいと思っています。
更に、他社のペダル付原動機付自転車を製造販売するメーカーでモビチェンを使いたいという声があれば、モビチェンのライセンス利用の提案を歓迎しています。我々だけでなく、多くの企業がこの仕組みを取り入れると、利用者が増えることで「合法的に、バイクと自転車を切替て乗れる」という仕組みが認知され、ペダル付原動機付自転車の安全な利用が広がると思います。
ライセンスの利用についてはこちらからお問い合わせください。

まとめ

モビチェンっていったいなに? という事で、モビチェンが開発された経緯や、モビチェンを付けたGFR-02の利点についてまとめてみました。
主として電動バイクとして利用しつつ、シーンに合わせて自転車に切替えて使えることで、安全性や利便性が増すことがわかりました。
電動バイクなので
・原付の運転できる免許証を必携
・ナンバープレートの取得
・自賠責保険に加入
・ヘルメット着用必須
となります。
自転車の扱いになるのは道路交通法上になりますので、道路運送車両法上は原付ですので保安基準をみたしていることが必要になります。
また、自賠責保険に加入しているので、万一の事故の場合には自賠責保険対象になります。

電動バイクと自転車を1台で切替えて利用できる、まったく新しい概念の電動モビリティの登場になりますので、自分の生活にどのように取り入れるといいか想像してみると楽しそうですね。
動画でまとめられていたので、こちらもチェックしてみてください。

 

 
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