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2022年4月に国会で道路交通法改正案が可決されました。今回の改正案では、電動キックボードはこれまで原動機付き自転車 (以下、原付)として区分されていましたが、「特定小型原動機付自転車」 (以下、特定小型原付)という車両区分が、原付と軽車両の間に新設をされ、この特定小型原付の条件を満たす電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許証は不要、ヘルメット着用は努力義務での運転が可能となりました。
法律の施行は可決から2年以内とされているため、2024年春までには施行され、実際に公道での走行が可能になります。安全に利用するためにも、今回の改正道交法についてのポイントを確認しておきましょう。

 

これまでの「原付」と新車両区分の「特定小型原付」の法律の違いは?

電動キックボードは2022年8月現在、道路交通法や車両運送法では「原付」という車両区分になります。
今回の道路交通法の改正により、これまでになかった新しい車両区分「特定小型原付」との違いをまず確認してみましょう。

これまでの車両区分は以下のようになっています。

道路交通法における車両区分等についての抜粋資料

R1.5.27WGヒアリング警察庁提出 ②パーソナルモビリティについてより 抜粋追記

 

それでは、新設される「特定小型原付」の車両の定義を簡単にまとめてみます。
・電動車に限る(出力は600W以下)
・最高速度20km/h以下に制限されている(スピードリミッターの装着が必須)
・長さ190cm×幅60cm以内である(普通自転車相当)
・特定小型原付に必要な保安部品が装着されている(現時点で保安基準について確定していない)
となっています。

これらは主に道路運送車両法によるもので国交省の管轄になります。
上記のような車両の定義に当てはまるものが特定小型原付の区分に入るわけですので、電動キックボードの形をしていなくても要件を満たすものはすべて特定小型原付として扱われます。電動キックボード以外に、新しい乗り物がこれを機に誕生するかもしれません。

 

次に、今回の改正道路交通法の特定小型原付と原付の比較をしてみました。内容は以下になります。

 原動機付自転車特定小型原動機付自転車
免許証の有無原付の運転できる免許が必須不要
ヘルメットの着用SGマークやPSCマークのヘルメット着用が必須努力義務
走行場所車道のみ車道
自転車レーン
条件付で歩道(車体に規定あり)
速度制限時速30km
(原付1種の場合)
時速20km
(歩道は時速6km)
年齢制限免許証に準じる16歳以上

16歳以上であれば運転免許証は不要

今回の道路交通法の改正で大きな点の一つは、「特定小型原付」は16歳以上であれば、免許証が無くても乗ることが可能になる点です。これまで電動キックボードは、原付免許証以上を携帯しないと乗れませんでした。免許証が必須でなくなったことで、より多くの方の利用機会が広がります。例えば高齢者の免許返納後の移動手段としの利用が可能になったり、地方で遠方から通う学生の通学利用などへの活用も考えられるなど、移動にまつわる問題の一つの解決策につながるかもしれません。
しかしながら、一方で免許証が必須であったので、交通ルールを理解してルールを守る意識を持った人が乗っていることで、迷惑な運転にならないように気を付けて運転している人が多かったと思いますが、免許証がいらなくなった場合、交通ルールがわからない状態で運転してしまうと、自動車や二輪車、歩行者など、他の交通主体を危険に巻き込む可能性があります。
ルールを理解するための講習や安全教室など、学校で行われる自転車の交通安全講習等とあわせて、同様に安全に関する勉強が必要になると思います。免許証の有無については、現在も賛否が分かれているのも事実です。安全に利用をするためにも、交通ルールの勉強は必要と言えそうです。

 

ヘルメットの着用は努力義務に

特定小型原付は、ヘルメットの着用は必須ではなくなり、努力義務となりました。これまでは、原付で決められていた規格のヘルメットの着用が義務付けられていたので、大きな改正と言えます。しかし、車と同じ車道を走行することを考えると、ヘルメットの着用については強く推奨します。自転車の場合でもヘルメットの非着用時の致死率は着用時と比べて約3倍も高くなるというデータをみても、ヘルメットの重要性が解ります。
今回、努力義務になったことで、これまでは原付用の決められたものの着用義務がありましたが、今後は原付用ではなく認められていなかった自転車のヘルメットの着用も可能となります。自転車用のヘルメットは、デザインが非常に豊富であっり通気性がよいものがあったりと、種類が多くあるので、ファッションとあわせて取り入れやすくなると思います。多くの方が安全に乗るためにも、ヘルメットの選択肢が増え、自発的に被る方が増えるとよりいいでしょう。

 

制限速度は20km/h以下

これまでの電動キックボードは原付であったため、30km/hが最高速度と定められていました。今回特定小型原付の要件として、20km/h以下と定められました。また、スピードリミッターを付け、これ以上のスピードが出ないよう制御されていることが条件となります。
アシスト電動自転車が24km/hまでアシストされることを考えると、少し物足りない感じもあるかもしれません。スピードが速ければ、ちょっとした凹凸でのハンドル操作のミスなどでも事故に繋がることを考えると、より安全に利用するための速度域ということになりそうです。
一方で、車道の左側を走行する場合、20km/hでは他の自動車やバイクなどのスピードの流れに乗れない可能性があります。交通量の多い通りを避けるなど、安全に走行する工夫が必要です。

 

歩道の走行はできる?できない?

現在電動キックボードは、歩道の走行を認められていません。本来自転車も全ての歩道の走行を認められているわけではありません。特定小型原付では、一定の条件を満たした場合のみ歩道の走行が可能になります。

 

車両区分の切替えという新しい仕組み

これまで、車両区分を切替えて乗ることができるのは、glafit社のハイブリッドバイクGFR-02のモビチェン付車両についてのみ認められていました。これは、原付と自転車の切り換えが認められています。今回初めて特定小型原付は車両区分の切替えを法的に認められました。切替えが認められるのは、特定小型原付(最高速度20km/h) ⇔ 歩道通行車(最高速度6km/h)となります。原付 ⇔ 特定小型原付や、原付 ⇔ 特定小型原付 ⇔ 歩道通行車というような切替えは認められていません。また、車両が今どの状態で走行しているのかがわかるように「識別点滅灯」という装置を新たに設置することとし、速度制限と連動していて、20km/hの時には水色に点滅、6km/hにしたら緑に点滅し、速度制限と連動して自動で切り替わることが義務づけられます。また、走行中の切替えは認められていないため、歩道走行に切り替える場合は一度止まってからとなります。
なお、現時点では保安基準について法改正前の議論中のため、多少の変更がある可能性があります。
現状議論されている特定小型原付の保安基準について 【国土交通省HPより】

 

保安部品の決まりは?

前照灯(ヘッドライト)・尾灯(テールランプ)・制動灯(ブレーキランプ)・後部反射器・方向指示器・警音器(クラクション)・識別点滅灯火の取付けが決められています。また、それぞれに視認性についてなどの決まりがあります。現行の原付の場合の電動キックボードで必須となっている、後写鏡(ミラー)や番号灯は不要となりました。
なお、現時点では保安基準について法改正前の議論中のため、多少の変更がある可能性があります。
現状議論されている特定小型原付の保安基準について 【国土交通省HPより】

 

ナンバー取得は必要?

特定小型原付も、引き続きナンバーの取得が必須となります。
ナンバーの取得は、自分の住む市区町村役場にて無料で取得が可能です。公道走行前に、必ずナンバー登録を行いましょう。
【関連記事】原付バイクのナンバーって自分で取れるの?実際に取得してみた

 

電動キックボードイメージ

 

いつから「特定小型原付」として公道走行できるのか?

法案成立から2年以内

2022年4月19日(火)に道路交通法の改正案が衆議院で可決、2年内をめどに施行予定となっています。2024年5月までには施行され、公道走行が可能になります。

 

新しい乗り物を安全に利用するための取り組み

なぜ乗れるようになるまでに時間がかかるのでしょうか?
例えば、保安基準がまだ決められていないことなどから、特定小型原付の要件を満たす車両を製造することができないという根本的な理由もあります。また、特定小型原付というこれまでになかった区分を新設することは非常に大きな制度改変であり、社会経済活動への大きな影響がでるので、周知期間を長くし啓発活動も必要になります。更に現状と異なる場合は標識を作り直し設置しなおすなど、いろいろな準備が必要になってくるからです。

 

基準を満たした電動キックボードを購入するには?

まず、現時点(2022年8月現在)では保安基準が決定していないことから、特定小型原付の入手はできません。これから国交省で保安基準に関する改正案を作りこちらも可決後、正式な保安基準を基にキックボードの製造が、開始されるので、まだ少し先になるでしょう。
小型特定原付は、原付同様に国による型式認定を受けることが可能です。型式認定を受けた車両には、型式認定済みであることがわかるような表示(ラベルなど)が付けられる予定です。また、民間の機関・団体等による基準適合の確認を行い、こちらも基準適合車両であることを表示する予定となっているので、これらの認定表示があるものを購入するとよいでしょう。

 

今ある電動キックボードはどうなる?

現時点で、電動キックボードは原付区分で公道走行が可能

電動キックボードは、現時点では原付としての交通ルール、保安基準を満たしたものが、公道走行が可能です。特定小型原付の施行後も、原付としてこれまで通りの利用が引き続き可能です。
特定小型原付の施行後、例えば今の原付扱いの電動キックボードで、「車道は20km/hで走行し、歩道は6km/hで走行する」としても特定小型原付には認められず、歩道走行をおこなった時点で法令違反となります。あくまでも新しい車両区分に適した車両に乗っていないと、小型特定原付の扱いにはなりませんので注意しましょう。

 

まとめ

原付と特定小型原付の特徴を理解して自分に合う電動キックボードを選ぼう

特定小型原付の利用はまだ少し先になります。2年程時間がありますので、2つの特性を勉強して、より自分の使い方に便利なものを選ぶとよいでしょう。
最高速度の違いなどもあるので、ある程度の距離をスピーディーに移動をしたい場合は、現行法から公道走行可能な原付基準の電動キックボード。また、あくまで近距離で少しの距離を利用したい場合は小型特定原付基準の電動キックボードなど、用途に応じて検討してみましょう。


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