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どうして自転車のヘルメット着用が努力義務化されたの?
相次ぐ自転車の重大事故 自転車死亡事故の約6割が頭部に致命傷
改正道路交通法の施行により、令和5年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。
これまでは、「保護者の方は、13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければなりません。」となっていましたが、4月1日からは「自転車を運転するすべての人がヘルメットをかぶることに努めなければならないのはもちろんのこと、同乗する方にもヘルメットをかぶらせるように努めなければなりません。また、保護者等の方は、児童や幼児が自転車を運転する際は、ヘルメットをかぶらせるよう努めなければなりません。」と、自転車に乗る人すべてがヘルメットを被るようにしましょうと変更になりました。
自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方は、約6割が頭部に致命傷を負っているというデータ(図1)にあるように、もしもヘルメットを被っていたら命が助かったかもしれない…という事故が近年多発していたようです。
まず、事故にあわないようにすることが大切ではありますが、万一の場合に備え頭部を保護するヘルメットの重要性がよくわかります。
また、最近JAFで電動キックボードが街中で遭遇しそうな交通場面を再現し、走行速度やヘルメット有無によって衝突・転倒時の危険度はどう変化するのか検証した際の結果が発表されています。
参考:電動キックボードの衝突実験(JAFユーザーテスト)
ヘルメット非着用時の致死率は約2.1倍!
また、以下のようなデータもあります。
自転車走行中のヘルメット非着用時の死傷者に占める死者の割合(致死率)は、着用時に比べて約2.1倍高く、頭部損傷が重大な事故につながりやすいことが確認されているそうです。
こちらもヘルメットの重要性がうかがえるデータ(図2)です。
7月1日施行の「特定小型原動機付自転車」は同じくヘルメットは努力義務
特定小型原動機付自転車とは?
2023年7月1日から施行される特定小型原動機付自転車(以下、特定原付)とは、具体的にどういった乗り物になるのでしょうか?
次の基準を全て満たすものを特定原付と定めており、これに該当しないものは、これまで通りの一般原付に該当します。
・電動機の定格出力が 0.6kW 以下
・長さ 190 ㎝、幅 60 ㎝以下
・最高速度 20km/h 以下
・特定原付に必要な保安部品を装着
・オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられている
・最高速度表示灯が備えられている
自転車と一般原付の間に新設された、原付区分の中でも16歳以上であれば免許なしで乗れる電動モビリティです。
関連記事:道路運送車両法に「特定小型原動機付自転車」の保安基準が追加!改正内容を徹底解説
一般原付はヘルメット着用義務があり、安全基準を満たすヘルメットを被らないといけない
一般原付では、決められた規格のヘルメットの着用が義務付けられています。特定原付では、着用が努力義務となっており一般原付規格のヘルメットを被らないといけないわけではないので、自転車用ヘルメットであれば、ファッション性も広がり、また通気性がよく快適なものも多く市販されていますので、取り入れやすくなると思います。
しかし、車と同じ車道を走行することを考えると、また前述のように自転車での事故でもヘルメット着用の有無で死亡事故の割合が変わることなどを考えると、特定原付でもヘルメット着用を強く推奨します。
努力義務って罰則規定はあるの?
努力義務ってそもそもどういうこと?
努力義務とは、法律の条文において「~するよう努めなければならない」「~努めるものとする」などと規定される内容を指す言葉で、このような規定を努力義務規定といいます。
道路交通法の条文を見てみると、努力義務である自転車の場合と、ヘルメットを着用することを義務付けている二輪車や原付の場合とでは文言がまったく変わっています。
(自転車の運転者等の遵守事項)e-govより
第六十三条の十一 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
第七十一条の四 大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。2 原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。
尚、努力義務に法的拘束力は無いため、違反したとしても罰則は科されません。
ただし、これは努力義務規定に違反しても構わないという意味ではなく、努力義務に反した結果、それを理由に損害賠償のケースがあるなど、リスクの可能性があることを理解しておきましょう。
また前述のとおり、自分自身の安全を守るためにも、ヘルメットの着用をしていきましょう。
自転車のヘルメット購入費用の補助金も
各自治体により、ヘルメット購入補助金がある場合も
各自治体ではヘルメットの購入に要する費用の一部を補助しています。
自治体によって、期間、補助金額や補助対象となるヘルメット、年齢制限、購入できる店舗等条件が異なりますので、まずは住んでいる自治体のホームページ等で確認してから購入するようにしましょう。
補助対象となるヘルメットについて
以下のいずれかの安全基準を満たす新品の自転車乗車用ヘルメットが各自治体の対象ヘルメットになるようです。
購入前に、対象の製品なのかどうか確認してみましょう。以下がヘルメットの安全基準認証のマークになっています。
SGマーク:一般財団法人製品安全協会が安全基準に適合することを認証
JCFマーク:公益財団法人日本自転車競技連盟が安全基準に適合することを認証
CEマーク:欧州連合の欧州委員会が安全基準に適合することを認証
GSマーク:ドイツ製品安全法が定める安全基準に適合することを認証
CPSCマーク:米国消費者製品安全委員会が安全基準に適合することを認証
まとめ
新たな電動モビリティの普及でパーソナルモビリティが多様化してきています。便利になるのは良いことですが、何よりも安全に乗ることが一番大切になります。
安全に利用するためには、常に交通ルールを遵守し、適切にヘルメットを着用するなど、自分自身の安全を確保する意識を持つことが重要です。
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