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奈良盆地の南東部に位置する小さな村、明日香村。6世紀末から7世紀にかけて都が置かれ、聖徳太子、蘇我馬子、小野妹子などの偉人が活躍しました。日本の中央集権律令国家の礎が築かれたことから「日本はじまりの地」として知られ、明日香村を含む「飛鳥・藤原の宮都」は、2026年の世界遺産登録を目指しています。
歴史ファンはもとより、古き良き日本の原風景を求め、海外からも観光客が訪れる明日香村。毎年1月中旬からは、ブランドいちご「あすかルビー」をはじめとするいちご狩りが楽しめるほか、桜や紅葉の時期には一層のにぎわいを見せます。
その明日香村では2025年10年より、glafitが観光地で提供している、特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)を活用したマイクロシェアリングサービス「WANDERIDE」を導入。電動サイクル「NFR-01Pro⁺4GLTE MODEL」(以下、「NFR-01Pro⁺」)に乗って村内をめぐることができます。そこで今回は、現地で乗車体験をした様子をレポートします!
観光地での移動にも取り入れやすいパワフルな特定小型原付「NFR-01Pro⁺」

16歳以上であれば免許なしで誰でも乗ることができ、若者やインバウンド、免許返納後世代の需要も注目されている特定小型原付。明日香村で導入された「NFR-01Pro⁺」は、見た目や気軽さは自転車のようでありながら性能は電動バイク、という”いいとこどり” の 電動サイクルで、多くの方が乗り慣れた感覚で利用できる、自転車型着座タイプのユニバーサルデザインです。まったく漕がずにビュンッと進む新感覚の乗り物は、非日常を体験できます。
1回の充電で約46km走行でき、登坂能力30%は特定原付のなかでも高いレベル。アップダウンを含んだルートにも対応が可能です。
glafitでは2025年4月より、「NFR-01Pro⁺」を利用した、電動モビリティのマイクロシェアリングサービス「WANDERIDE」を提供開始。和歌山県内の宿泊施設をはじめ、宮古島、境港など全国各地で導入がスタートしています。
参考:観光DXの新たな選択肢 — 電動サイクルNFR-01Pro × 専用アプリで実現するシェアリングサービスパッケージ『WANDERIDE』を提供開始!
初めてでもちゃんと乗れた!

①交通ルールテストを実施 ②受付でMAPがもらえ、コースの相談もOK ③最新のスマートキーを搭載。専用カードキーをかざして解錠 ④メーターの見方や操作方法、運転時の注意点を丁寧にレクチャー
乗車前の交通ルールテストと丁寧なレクチャーで安心
今回の乗車体験スタート地点は、近鉄吉野線の飛鳥駅前にある、明日香レンタサイクル飛鳥駅前営業所です。現在「NFR-01Pro⁺」は、こちらと後ほど紹介する石舞台古墳近くの営業所の2か所でレンタルでき、料金は2時間3,000円(延長1時間あたり1,000円)。台数に限りがあるため、電話での事前予約がおすすめです。
飛鳥レンタサイクル 飛鳥駅前営業所
住所:奈良県明日香村大字御園138-6
営業時間:9:00~17:00
休業日:年末年始、および荒天時
電話番号:0744-54-3919
受付で身分証での年齢確認と申込書の記入を終えたら、特定小型原付の交通ルールに関する〇×テストを実施します。間違えた箇所はちゃんと解説を受けられるので、落ち着いて答えましょう。その後支払いを済ませ、車体のレクチャーに進みます。
参考:特定原付用交通安全ルール
初めて乗るときに抑えておくと安心なポイント
今回の体験者(筆者)は、自動車免許は持っていますが、バイクの乗車経験はゼロ。「NFR-01Pro⁺」に乗るのも今回がほぼ初でした。あくまで超初心者の主観ではありますが、最初に乗るときは少しだけ戸惑うかも? と感じたのが以下の2点です。
- スロットルを回す力加減:「NFR-01Pro⁺」の最高時速は20km/h。カーブでの緩め方や坂道での加速など最初は探り探りでしたが、ゆっくりと操作すれば怖い思いをすることはありませんでした。
- 方向指示器の点・消滅:車道を走る際は、右左折や進路変更にウインカーでの合図が必要です。自動車の場合は曲がった後にハンドルが戻ると自然にウインカーが消えますが、「NFR-01Pro⁺」は消すときも操作が必要です。バイクに乗り慣れている方にとってはごく当たり前のことかもしれませんが、最初はこの「消す」操作を忘れそうになってしまいました。
そのほか、普段自転車やバイクに乗る機会が少ない方は、安全なブレーキのかけ方(左からゆっくりと)や、信号機のある交差点でマストとなる二段階右折のやり方などについても予習しておくと安心だと思いました。いずれも交通テストや事前のレクチャーで触れられる項目なので、そこでも復習できます。

いきなり公道に出るのは少しだけ不安だったので、敷地内で軽く慣らし運転をさせていただきました。電動なので動き出しがとても静かで、エンジン音に慌ててしまうこともなく、操作にもすぐに慣れました。
それでは、安全運転で出発です!
車では通れない細い道もスイスイ

今回「NFR-01Pro⁺」で回ったのは★印の4箇所。まずはウォーミングアップがてら、レンタルスポットから駅の裏手に回って5分程度で着く牽牛子塚(けんごしづか)古墳に向かいます。
めずらしい八角墳の牽牛子塚古墳

牽牛子塚古墳。石室内部の公開は3月~6月、9月~12月の土日祝日に予約制・有料で行われるそう
近鉄飛鳥駅の周辺には多くの丘陵があり、飛鳥時代には多くの古墳が築かれていました。なかでも、皇族関連の墓が多いと考えられています。飛鳥時代の天皇が埋葬された古墳の代表的な形状が、八角錐の頂点を平らにしたような形で、真上からは正八角形に見える「八角墳」。全国で10例程度しか確認されていない、めずらしい形だそうです。
当時の姿にできるだけ近づけて整備され、2022年3月に公開された比較的新しい観光スポットが牽牛子塚古墳。低い丘陵の一画にあり、明日香村の風景が一望できます。花びらに形が似ていることから別名「あさがお塚」とも呼ばれ、被葬者は斉明天皇とその娘の間人皇女という説が有力だそう。

車では通れない細い道もスイスイ進めます
「NFR-01Pro⁺」は、駐車場から少し上った丘の中腹に停めることができました。帰りは細い抜け道をゆっくりと下りながら、次の目的地へ向かいます。
抜群のスタミナで観光を満喫
次に向かったのは、国の特定史跡にも指定されている石塚山古墳。牽牛子塚古墳からは約4.5km程度、と聞くとそこまで長く感じないかもしれませんが、飛鳥駅を過ぎたあたりからは道中ほぼ上り坂です。座ったままで本当に大丈夫!? という心配をよそに、スロットルを回すと「NFR-01Pro⁺」はグイグイと加速していきます。
蘇我馬子の墓といわれる石舞台古墳

石舞台古墳。拝観料は大人300円、高校生以下100円(未就学児無料)
国営飛鳥歴史公園内石舞台周辺地区の中央に位置する日本最大級の方墳(墳丘が四角形の古墳)、石舞台古墳。築造は7世紀の初め頃と推定され、上部の盛土が失われて天井石が露出した現在の姿になったそう。この時代に権力を握っていた蘇我馬子の墓ではないかといわれています。
石舞台古墳は横穴式石室をもち、玄室(棺を納める部屋)には大小30数個の花崗岩を使用。総重量は約2,300tにも及び、なかでも天井部分には約64tと約77tもの巨石が使われているのだとか。

玄室に入ることができました。中から見ると、それぞれの石が互いを支え合い、絶妙なバランスのうえ成り立っているのがわかります。これだけの石を人力で運び積み上げるのに、一体どれほどの時間と労力を費やしたのでしょうか。先人たちの偉業に思いを馳せずにはいられません。
美しい棚田で下車してパシャリ

石舞台古墳の東側は、藤原鎌足がまつられる談山神社と続く急な山道に。少しだけ足を延ばしてみると、山の斜面に棚田が広がっていました。米どころとしても知られる明日香村。四季折々の表情を見せる棚田は海外からの観光客に人気が高く、特に秋、彼岸花が咲くころが美しいそうです。ふと道路脇に停めてシャッターを押せるのも、コンパクトな二輪車ならではですね。
ランチで地元の食材に舌鼓

La ville~都~
山道を引き返してから趣ある路地を少し走り、手づくりと無添加にこだわっているカフェ「La ville~都~」でランチタイムです。

「Miyakoランチプレート」(1,760円)。メニューは月替わりで、古代米のほか、明日香村産・奈良県産の野菜をメインで使用
10食限定のランチプレートは、ひとつひとつのおかずが丁寧につくられており、滋味あふれる味わいでした。明日香村には、地域おこしの一環として栽培されている古代米や、地元産の素材にこだわって提供している飲食店も多いそうです。
お腹が満たされたところで車体の返却に向かい、今回の体験は終了。お土産を買うなら、レンタサイクル営業所のすぐ近くにある道の駅「あすか夢販売所」がおすすめです。地元産の野菜やくだものほか名産品がそろい、この日は「あすかルビー」もありましたよ。
まとめ
坂道や細い道が多い明日香村で「NFR-01Pro⁺」が大活躍! 当初心配した運転にもすぐ慣れ、乗ってみた感想は、とにかく「楽チン」&「楽しい!」。
日本で唯一、村全域が歴史的風土特別保存地区に指定されている明日香村。移動で体力を消耗しない分、沿道の景色を楽しむ余裕もあり、各スポットを満喫できました。小回りが利き、ふと目が留まった場所に気軽に立ち寄れるのも魅力で、旅好きとして今後いろいろな観光地での導入に期待が膨らみます。
車の免許がない方はもちろん、「レンタカーを借りるまでではないけれど、自転車を漕ぎ続けるのは少ししんどいかも…」という方はぜひ一度、「WANDERIDE」体験をしてみてください。滞在時間があまりとれない方の“サクッと観光”にもちょうどよく、スタイリッシュな車体はSNS映えもバッチリです。
明日香村では1月中旬から「あすかいちご狩りパーク」がスタート。村内18か所の農園で立ったままいちご狩り体験ができ、そちらを回るのもおすすめですよ。みなさんも「NFR-01Pro⁺」に乗って、明日香村の歴史や美しい自然に触れてみてください!
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